美術のゲノム ~描かれた移ろう時の秘密~名作『日月山水図屏風』

wowowで昨夜放送の「美術のゲノム」。既に5回目のこの番組、毎回ひそかに楽しみにしてます。今回は室町末期の「日月山水図屏風」のデジタル復元。
まずは実物を出演者の皆さんが至近距離でじっくり見るところから番組がスタート。なんとも贅沢。TV画面を通して見る限り、この屏風、400年前のものとは思えないほどキレイで元の絵がよくわかる、実は今回は復元する必要がないんじゃないかと思ってしまったのですが。
大胆で興味深い推測と経験や知識に基いた考察によって復元されたのは、なんとも澄み渡る輝きのクールなデザイン。吸い込まれてしまいそうな静寂を持ち、且つ、光の当たり方によって(おそらくは季節によって時間によって天候によって)幾通りもの表情を持った生きた屏風なのでした。
ワタシ的に実は日本画にはそれほど興味がなく、知識も乏しいので、この絵について当然のように語られる宗教観、ひいては宇宙的な思想なんかも、へー、そーなんだーと興味深く見ていたのですが、せいこう氏やデジタル復元師の方が嬉々として想像する4Dの世界観なんかにもひどくロマンを感じてちょっともらい感動。この番組を見ると日本画の素晴らしい部分(高尚なだけでなく)、そしてその背景の面白さなんかも感じ、もっと知りたい!と思うんですけどね。今回も知的好奇心くすぐられました。いいです、ロマンです。