NTL 「夜中に犬に起こった奇妙な事件」

TOHOシネマ某にてナショナルシアターライブ「夜中に犬に起こった奇妙な事件」観てきました。
剛くん出演の日本版はホントに大好きな作品で何度も観ました。原作も読んでます。
日本版は、舞台が日本になっていたり名前も日本名だったりするので、本家英国版とは別物なのかと思っていたのですが、基本的には本家の脚本を踏襲してたんですね。
それなのにこの2つ、印象が全く違うのです。
最初に言っちゃうとひいき目プラスでワタシは日本版の方が好きです。ただ本家は、あの原作からあの演出を生み出したというのがとにかくすごい。オリジナリティーのあるクリエイティブな舞台だと思いました。
 本家はとても幾何学的というかデジタルな感じ。これはクリストファーの特徴である超理系の頭の中をイメージしているのだろうけど。四方を客席が囲む形で上からの視点も計算されてたり。基本暗い中、今動いている人にスポットがあたる感じ。エッジが効いててクールでとても幻想的。
対して日本版は幸人の身近な人達で劇を作っているという体なので、全編通じて手作り風でアットホーム。常に登場人物が幸人を見守っている感じ、ほんわかであったかい空気。つられて観客も幸人を見守ってる感覚になるというか。
そして本家は人物の描写も言動もリアル。なのでずしっと重い。その重い空気を取り去るように時々わかりやすく笑わせる演出が入ってメリハリがある。お父さんのクリストファーへの態度とかリアルが故に見ていて辛かったり。
日本版はなんというかファンタジーなんです。それゆえのあのキラキラ感、瑞々しさ、あれは素晴らしかった。幸人の限りない可能性を視覚化していて、思い出しただけで感動に震えます。敢えてファンタジーを感じる演出が素晴らしかった。本家ではペットのネズミも本物で冒頭の殺された犬もリアルなつくりだったけど、日本版はそれらがおもちゃっぽいことで劇中というか幸人の物語の中にいる感じが増して、なので最後の本物のベージュが余計効いてるんだなーとか思ったり。
日本版はやはり、幸人が幸人を愛する人たちに囲まれて見守られている感じが素晴らしいと思う。それがあるからこそ幸人が一人戦っているときに先生やお父さんの言葉が力になるっていうのが説得力を持って沁みてくるのです。
そしてカーテンコール。ここも日本版と英国版の特徴が表れてました。あの幸人くんのカーテンコール、すばらしかった。また観たい・・。
ということで、英国版見つつ、随所で日本版を思い、思い出し感動して涙ぐんでいたのでした。(もちろん英国版もすごいクオリティですごい見ごたえ!なんですよ)