「ジャージー・ボーイズ」

イーストウッド監督作「ジャージー・ボーイズ」見ました。以下、ネタバレあるかも。
最後まで見て、あーいい映画だったーと大満足できるような、大人な、良作です。特に最後の15分。秀逸。
警察に収監されることが日常であるかのような環境にいる青年たちが、音楽で上り詰める。そこまでにも、そこからも、巻き起こる数々の問題、いざこざ、確執。名曲のその裏の光と影。それを淡々と、敢えてドラマチックに仕立て上げず、描いている。人生とはそんなもんだと言ってるように。その少し突き放したというか、乾いた感じが素晴らしい。シリアス過ぎず、それどころかそこかしこに思わず笑ってしまうようなセリフやシチュエーションが散りばめられている。決して狙って入れた笑いではないのに、なんだかおかしい。人生とは滑稽なものなのだーとか思ってしまったりして。
前半トミーがカメラに(観客に)語りかける。彼がストーリーテラーだと思っていたら、途中からはボブもニックもカメラ目線で自分の想いを語り始める。斬新だなーと思ったけど、これがまた、それぞれの心情の吐露という感じで、素直に感情移入できた。
くっつき離れ、哀しみに打ちひしがれ、プライドを切り裂かれ・・・。4人4様の人生を選択した後、老人になっての再会。若かりし日と同じ様にトミーは遅れてやってくる・・。この辺りから涙腺ゆるみっぱなし。4人での久々のショー。それぞれがあの日の想いを語り、あの頃の振りつけで、振り返ると・・・。あの日の4人になっている。一連のこの演出・・・。あぁぁぁぁ思い出しても涙が出そう。ノスタルジーと、長い年月を飛び越えて蘇るあの青春の日々と。あぁ色んなことがあったけど、あれは確かに青春だったと勝手に彼らの気持ちになってもらい感動。
そして。エンドロールへと続くのです。素晴らしいカーテンコールへと。ニュージャージーの街角の外灯の下で歌っていた彼らが、明るい光の中を堂々と歌い闊歩する。皆楽しげで。偉業を成し遂げた彼らの凱旋パレードのようで、感慨深い。ジップすらも彼らの歌にステップ踏んでる・・・。あぁぁぁまたまた感動です。いやいや、楽しいんです、ものすごく。楽しい、のに泣けてくる。あぁいい映画です。
クリストファーウォーケン、おじいちゃんになってましたが、田舎の町の裏の実力者そのままに素晴らしい存在感でした。
そしてワタシ的には、トミーがなんとも気になって気になって。彼中心に見てました。あの、小さい世界で虚勢張って生きてる感じにくすぐられました。
(ヴァリの人はちょっと童顔が過ぎてちょっと・・。老人メークも、他の人は全く気にならなかったけど、彼だけはちょっと違和感でした。歌は素晴らしかったけど。)
いやいやほんと、久々にいい映画見ました。