「Dr.パルナサスの鏡」

テリーギリアム監督「Dr.パルナサスの鏡」見ました。(ネタバレあるかも)

いいです。最高です。これぞエンターテイメントです。これぞ映画です。手放しで大絶賛。ここ数年見た映画の中で一番おもしろかった。大満足です。
テリーギリアムらしさ満載(彼のイマジネーションとその具現化は芸術家のそれを感じます)、でもアクが強すぎず、ギリアムファンじゃなくても入り込みやすい。この絶妙なバランスと、ユーモアに溢れたそれぞれのキャラクター(悪党トニーや悪魔ニックまで)。おそらくはキリスト教の有名な逸話になぞらえて綿密に作られたキャラクター設定、ストーリーなのだろうと思うのだけど、それよりもなによりも、とにかく自分の感性だとか知性だとか総動員して、考えずただ感じることでものすごーく楽しめる映画だと思うのです。自分の感受性を試されているかのように、知的好奇心をくすぐられ、見ている間中ドーパミン大放出してる感覚にぞくぞくし、ひたすら気持ちのいい映画です。

1000年もの間、この世を見続けるパルナサスの悲哀と滑稽さ。強い意志さえも砕く愛。愚かしくも自分が招くことになった悲劇を受け入れる覚悟・・。
最後の、幸せになったヴァレンティナの前に姿を見せられないと思うパルナサスと悪友のように傍らにいるニックのシーンで、涙が出ました。大切ないろんなものを過ぎ去って、幸せだった一瞬を思い出にして、永遠に続けていかなければならない彼らの人生を思って・・。その後エンドロールが出てきたときには、一人、こっそり座席で拍手を送りました。

奇想天外、美しく可憐な世界にはけばけばしい毒もあり。妖しくもあり、しかし惹きつけられてしょうがない。それはまるでパルナサスの見世物そのもののような・・。
あの美しく幻想的な世界、映画館の大スクリーンでもう一度見たい。そしてこれこそブルーレイが出たらぜひ購入しようと思ったのでした。あーおもしろかった。
(そして最後。エンドロールが始まっても誰も席を立たないと思ったら、最後の着信音。あぁ、ヒース・・。)