「サッちゃんの明日」

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シアタートラムで「サッちゃんの明日」マチネ、観てきました。松尾さん演出作品は「女教師・・」以来。楽しみにしてました。以下、ネタバレあり。

休憩なし、転換なし、カーテンコールなしのあっさりとした感じに加え、トラムのあの距離感、全体的に小ぢんまりというか、やや地味目な印象。そこかしこに笑いが散りばめられていて、常に笑ってる気がするのだけど、内容的にはかなり重いです。
敢えてタブーをタブー視しない、それでいて悲哀に満ちた松尾ワールドが繰り広げられてます。
世間的に弱者と言われる人が全て善人というわけではなく、そもそも弱者の基準ってなんじゃいってことなんですが。(というか弱者=善人って勝手なイメージつけていること自体、驕っているというか。)社会から色んな事情で排除された人たちが傷をなめあうでもなく、わりとしたたかに生きていくことが、これまた人生というか、それはそれでアリなのだろうかなどと思ったり。力強く前向きな想いがあるわけでもないし、この先劇的な変化が訪れる希望もないのだけれど、それでもこのヒト達は(そしてワタシたちも)明日もまた背負った何かを全うするために生きていくのだなーと・・。
ワタシ的に基本、松尾作品(演劇しかり、小説しかり)は、男子主役だといいんですけど、女子目線だとちょっとすんなり入り込めないことが多いんです。なんつーか、男性が考える女子のストレートな本能みたいな部分が痛い気がして・・。しかも今作、折りしもタイムリーなネタですけど、その辺も含めてなんつーかリアルすぎて重い。やっぱり重い。決してつまらなくはないんだけど。ラストはうっすら希望も見える気もしたしね。
そんな中でクドカン演じる道灌とカヲルさん演じるヅケヤマ君がよかったです。特にヅケヤマ君が出てくるとなんつーかホッとしました。(コンビーフのお家の鍵がツボでした。)

劇場で松尾さんの新刊買いましたー。サイン入りだよー。