「スリー・ビルボード」

スリー・ビルボード」観てきました。以下、ネタバレあるかも。
基本わたしが映画を選ぶポイントは役者より監督なのだけど、今回に関してはウディ・ハレルソンフランシス・マクドーマンドというクセモノ役者の共演という部分にひかれて。この監督の作品は初めて見たのだけれど、スリービルボード、超おもしろかった。
前半、重めの社会派ドラマ。着地点が見えず鬱々とした気持ちになりますが、ウディ演じるウィロビーが死んでから一転、まさかの怒涛の展開、エピソードの連続に息を飲み、なぜかわくわくしてしまう不思議な感覚。
登場人物みな人間臭いというか、きれいごとがなく、自分の価値観と違ういわゆるヘイトの感情が負の連鎖を呼び、その関係性は少しも美化されず(被害者と母親のそれさえも)、だけどふとした優しさにそれぞれの傷ついた魂が救われ、赦し赦され、シンパシーを感じたり。どちらかというと嫌なヤツ揃いの登場人物たちが、段々とみな愛おしく思えてくる。まったく相容れなかった人たちがなんとなくつながっていく。でも決してきれいごとでなく。最後、あの二人の組み合わせで終わるなんて誰が想像しただろう。
看板が燃えた後、看板張りの青年が訪ねてきたところとか、ディクソンがミルドレッドに電話で自分の考えを打ち明けるシーンとか、痛快ですらありました。
絶望の渦中にいる人々が哀しくてやり切れなくてどうしようもなくもがいてもがいて、それでも状況は好転するわけではないのに、最後にはなぜか救いを感じる。重いテーマなのに、エンタメ要素がバランスよくちりばめられていて見終わった後に清々しさすら感じる。監督の手腕でしょうか。素晴らしい。秀作です!!

ちなみに。わたし的にウディ・ハレルソンはいつでも手の付けられないクレイジー無法者であってほしいので、今回のいい人の役はちょっと物足りない。(すごくいい役なんだけどね。)