小説「金閣寺」

舞台のニュースに触発されて十数年ぶりに「金閣寺」読みました。
高校生の頃読んだときには単純に、主人公溝口はコンプレックスだとか、疎外感から生まれた狂気に突き動かされて行動を起こしたのだと思っていたけれど、全然それだけではないですね。彼は実は非常に生に執着していて(自身の将来などには無関心なのに)、実は生き抜くために、決断したり、可能性を除去したり、自分を含めたあらゆるものの価値を高めたり敢えて無くしたりしたのではないかなーと・・。深いですよねー。おもしろいです。
戦争前後という時代背景も大きく関わっていたのだなーと改めて感じました。
・・・しかし読むにつけて。これを舞台化って、どんな感じになるのだろうかと。まったく想像できません。金閣寺の永劫を感じさせる美を、溝口の目の前に浮かび上がるそのイメージを、どうやって表現するんでしょうね。それこそがこの作品の肝だと思うんで、安っぽくならないように、演出は相当ハードル高くなるんじゃないかなーとか思うんですけどね。楽しみだったり、若干不安だったり(亜門氏の力量知らないもんで。)、やっぱり楽しみだったり。