グッドナイト スリイプタイト

wowowで先日放送した三谷幸喜作・演出の芝居「グッドナイト スリイプタイト」を眠れなかった夜中に見ました。
ワタシ的に最近の三谷作品とは相性が合わない気がするので、劇場では久しく観ていないんです。なのであまり期待せずに観たのだけど、おもしろかった。ちょろちょろ出てくる楽団部分とか小ネタは置いといて、ストーリーが、というかストーリーの組み立て方が秀逸だった。
結婚当初から離婚までの30年、その間の様々な小さなエピソードが、時間軸を無視して、新旧シャッフルされた状態で次々と繰り広げられる妻と夫だけの二人芝居。一見ランダムに並べられているように見えるそれぞれのエピソードが、実は計算されつくしていて、最後まで見るとその並べ方が大いに効いてくるんだなー。うまいなーと思った。
ノンストップで続く場面の連続、錯綜する時間。役者の話し方とその話の内容でかろうじて今は何歳くらいだろうなーと推測しつつ見ているのだけど、その時その場面ではなんてことはないモノやハナシが実は伏線になっていて、あとあと「あーあのときの!」と点と点が繋がるような、パズルのピースが突然ぴったりとはまるような快感が訪れるんです。
ほとんどパジャマ姿で代わりばえのしない夫とは対照的にころころと変わり続ける妻の風貌と職業が、実は常に彼ら2人の転機に関わっていたりする辺りも上手い。
いつだって女の方がアグレッシブで、大人で、強い、これは真理ですね。きっと作者は女性を(というか奥さんを)リスペクトしているのだろーなー。序盤では単純に夫に愛想をつかして別れたのかと思ったけど、ホントは愛しすぎた故に別れるのかもしれないなーなんてちょっと温かい気持ちになれたりもして。このどこか物悲しくもある2人を見ていると、これは作者の私小説なのではないだろーかなどと勘繰っちゃいました。または、こうありたいという理想型かなと。だとしたら赤裸々すぎるけどさ。