シンプル・シモン

渋谷ユーロスペースにて、「シンプル・シモン」見てきました。以下、ネタバレあるかな?
一言で言うと、すべてが愛おしい。シモンが、お兄ちゃん・サムが、イェニファーが、職場の仲間が、上司が、両親が、バスの運転手が。シモンの言動が、そのせいで巻き起こる様々な事件が、それに対する周囲の対応が。
とにかく微笑ましい、楽しい、色んな種類の愛に溢れてすこぶる優しい。なのに涙が止まらない。ほわほわと温かい気持ちになる作品です。
当然のことながら、先月見た舞台「夜中に犬に起こった奇妙な事件」をどうしても思い出してしまったのだけど。見ながら、やっぱり似ているなーと思うこともしばしば。おそらくアスペの特徴的なエピソードやアイテムはある程度共通するのだろうし。ただ、こちらの方はシモンという人物を掘り下げるというよりは、彼が巻き起こしていく騒動を描いているので、より軽く、コメディ的になっている感じ。最後も、なんかでき過ぎな未来を予想させる感じで終わったし。(イェニファーが魅力的だし、それはそれで素敵な終わり方でした。)深刻になり過ぎず、楽しく、キュートに描かれているのが良かったです。ワタシ的には冒頭のドラム缶に閉じこもったシモンに手こずる両親、特にお父さんがお金で釣ろうとして、お兄ちゃんが来るころにはお札でいっぱいで「これ以上はもう無理」みたいなのがおかしくて、最初から釘づけでした。(体重80㎏のシモンが入った宇宙船をお兄ちゃんと彼女で運ぶのは無理!と思ったけど、そんなのどうでもよいくらい、あのお兄ちゃんとシモンが交信するシーンはステキでした。)
そして北欧特有のカラフルでスタイリッシュな小道具たち、衣装、映像、スーパー(っていうんですかね、説明的な図とか矢印とかも含め)などなど、画面の隅々までみどころいっぱい。お兄ちゃんのバイク?も何度も効果的に使われてました。シモンの仕事中の、緑溢れる公園の輝くような美しさとか、スウェーデンの自然や街並みにも癒されました。「夜中に犬に・・」がキラキラの瑞々しさなら、こちらは原色の鮮やかさ。どちらも愛おしい。とにかく愛おしい。それにつきます。
個人的には「夜中に犬に・・」にハマった方はこちらもぜひ・・と思いますが、上映館がめっちゃ少ないんですね。いい映画なんだけどなー。まぁ、でも単館向きです。まさに単館の佳作という感じの映画です。(そういえば、「夜中に犬に・・」を見た感想を、ワタシは“単館映画館でたまたま見た映画がいい作品だった時の至福感”と表現したのでした。)
ユーロスペースの、いかにも手作り単館シアター的な雰囲気も手伝って、そこかしこで笑い声が漏れる素敵な雰囲気で、楽しさ倍増しました。
 
 
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ちなみに、上司から勝ち取ったダーツの優勝カップは、ディナーの際のワインクーラーとなっていたのでしょうか。注視してなかったけど。