「49日後」を観た

PARCO劇場に「49日後」マチネを観に行って来ました。
古田新太八嶋智人池田成志松重豊小田茜の5人芝居です。曲者揃い。どーしたってこの贅沢すぎる役者陣に期待は高まります(ちなみにワタシはナルシさんが好き。ツレは古ちん目当て。)しかも今日の席は最前列だったんです。チケット運の悪いワタシではなくツレが取ったのですが。最前列、観にくくていやだというヒトもいますが、ワタシは好きなんです。臨場感が違うからね。Liveで観るからには一番の醍醐味ですから。はい。というわけで以下ネタバレ。

とある一人暮らしの老女が自殺し、唯一の肉親であるが疎遠らしい娘からの、土地の権利書と実印を見つけあとは処分してほしいという依頼を葬儀屋から請け負った専門の掃除屋。そこで働く胡散臭い作業員が男性4人、葬儀屋能勢役に小田さん。かなり壮絶な状態の家を片付ける4人は徐々にこの家、この仕事の奇妙さに気づき、実は能勢が嘘をついているのではと疑い始め・・・という話。
冒頭、金属の雨戸が舞台をびっちりと囲っていて結構な圧迫感。能勢がひとり仕事の電話をしたりタバコを吸ったりという始まり方に「鈍獣」を思い出しました。男達が出てきて雰囲気は一変するのだけど。
この家の状態(死体は死後気づかれずしばらく放置されていた)の凄惨さを表現するためにたびたび衝撃的な場面が出てくるのがかなり心臓に悪かった(ほらね、臨場感)。コワイというよりグロイんです。観客から「えーーーっ(やや批難風味)」という声がはっきり聞こえるシーンもあったりして(ゴキ○リ的なシーンです)。
タイトルからして結構重い内容なのかと思いきや、4人の男の会話の妙で笑いが絶えず。紅一点の小田さんはそんな中で一生懸命やってる感がとても好感が持てたというか、悪くはないなーという印象。やはりかわいい、お顔がちっさい。そしてイメージより背が高い。(・・といってもワタシの中で彼女の演技を見た記憶は「ぼくの魔法使い」しかないのですが。あれはハマってました。)
仕事しながら(サボりながら)ぐだぐだ続くくだらない会話と、ところどころに挟まれるショッキングなシーンと、全編通して頭の隅にちらつく謎と。休憩なし転換なしノンストップの2時間がコンパクトにまとまっていていい感じ。ストーリー自体には真新しさも重みもないけど(前半はいいんだけどラストに近づくにつれて特にそう感じた)、とにかく終始、芸達者の男性4人の掛け合いがひじょーに心地よくて、面白くて、テンポが良くて、げらげらと笑ってしまった。男達はキャラ設定も明確でわかりやすく、みんな存在感たっぷり。ひたすら彼らの舞台役者としての力量に魅せられた。その一言に尽きますね。他のことはどうでも、それが見られたからいいやと思えるほどに。
ストーリーの進行とともに、ごみだらけだった部屋がきっちり片付いていったのもなんか良かった。時間の経過というか、終結に近づいていく感じが。
ナルシさん、もっと活躍してほしかったけど演出もだからしょうがないか。最後の衣装がステキでした。(大和田が床下収納に閉じ込められたとき、一瞬現れた兄?はナルシさんですか?衝撃的過ぎて判別不可能でした。)そして、カーテンコールあっさり目で終わりました。ワタシ的には面白かったですけどね。