「ノーカントリー」

今更ながら「ノーカントリー」を見ました。アカデミー賞受賞ってのはどーでもよいのですが、コーエン兄弟好きなんで。以下ネタバレ。
80年代のテキサス。静かで広大な乾いた大地を舞台に、何かに憑かれたように自分の“獲物”を追い求める男達。それは、偶然手に入れた大金で夢見る未来だったり、快楽や欲望からではなく、自らのルールに従って仕留めるべき逃亡者であったり、正義や情に駆られての救いたい弱者だったり・・・。
どこまでも続く荒野とその静寂さ、そして男達の先の読めない言動とそして不穏な静寂さ。静かなシーンの連続に常に不気味な恐怖感がちらついていて、緊張感が途切れません。
この映画はなんというか、とってもアメリカ的。現代のアメリカを象徴しているなーと。良識あるアメリカ人がこれからのアメリカを憂いているのだというメッセージを感じました。といっても80年代の話なんだけどね。つまりその頃からなんだかおかしくなってきたよってことなのか。表現者としてほっとけなかったのでこの映画を作ったのだろうかとか思いながら見てました。ワタシには結構現代の日本にも通じるモノを感じたりもしてうすら寒くなったりしたのだけど・・。(原題の「No Country for old men」ってのもそういうことなんでしょうね。)
そして、もうひとつアメリカ的と感じたのが、あの乾いた広大な荒野の音と映像の効果的な使い方。
ワタシはアメリカの映画の最大の武器はあの広大な大地にあるなーといつも思うのですが、この映画にはそれが詰まってます。この映画は絶対映画館で見るべきだと思う。作品の好き嫌いは別としてDVDで見たらこの映画の特徴というか意味が変わってしまうのではないかと思うくらい。
とにかく渋くて、ずっしりと見ごたえ満点のぐーっと引き込まれる映画でした。
あ、主要な役ではないけれど、ウディハレルソンが役にハマってていい味だしてました。あのヒト、あーゆー役がよく似合う。テンガロンハットがたまらなく似合いすぎる。