スケキヨ

監督追悼で、wowowでは新・犬神家の一族を、NHKBSでは旧・犬神家の一族をちょっと前に放送してまして、それを録画してたのを見ました。
子供の頃にTVで放送された旧犬神家を見てヒジョーに恐ろしかった記憶があったのだけど、「犬顔家」見てからはもうそっちの印象しか残ってなくてですねー。あはは。なので怖さもストーリーも薄れてきてたんでわりと新鮮な気持ちで見ました。見てると要所要所で犬顔家を思い出してしまうのはしょうがないとして(佐兵衛翁の遺影はじゅんさんにしか見えなかった)、あの「スケキヨ、この薄情な人たちに顔を見せておやり!」のあとマスクをべりべりと剥ぎ取る緊迫のシーンでも、うっかり先日の不死鳥オープニングの水戸ちゃんの「俺だよー」を思い浮かべて笑ってしまった。もはやパロディのイメージ満載で見始めたのですが、段々惹きこまれていきましたよ。あ、もちろん旧のほうね。旧の方は日本ならではの怖さと言うか、どろどろした感じに加え、結構官能的で(それも日本的で)、残忍だったりグロかったり、そして全体的に艶っぽい感じ。それでいて非常に一般的で娯楽としての魅力もある作品ですね。新に比べて旧の方が、ずっとタマヨさんが犯人と匂わせる感じでストーリー的にもどきどき感があるし。役者陣もあの雰囲気にぴったりの怖ぇー感じの人ばっかりだしね。
とにかくあの作品の空気感というか、戦後の田舎町のどろどろの血族の争いというテーマが日本ならではの怖さだなーと。子供の頃見たからあんなに怖かったのかと思ってたけど、あながちそうでもなかった。子供の頃はスケキヨの(というかシズマの)あの黄色いマスクにも恐怖を覚えていたけれども、いつもじめじめと薄暗いイメージの家の中や、美しくもどんよりと見える風景や、お互いに対して不快感を抱えている一族の人たちの言動にこそ、ほんとの怖さを感じていたのだなー。日本映画(あんまり見てませんが)の魅力ってこーゆーところだなーとか生意気なことを思いました。・・と、ここまでは旧のオハナシ。
新のほうは、そういう部分が根こそぎ薄れている印象。なぜリメイクしたのかとちょっとフシギに思うけど、長年の監督の功績を讃えた皆様のお気持ちなのだと思えば今となってはまぁ納得。でも見ながら旧と比べて、ここはまったく一緒とかここがカットされてるとか間違い探しをついついしてしまったり。ちなみに竹子の娘役の奥菜さんが結構ハマってたかな。なんかあの時代のあーゆー感じの役が似合うなーと。
それにしてもやっぱり犬顔家の前にちゃんと見ておけばよかったなーといまさら後悔。