イヌ

「いのうえ歌舞伎☆號IZO」観てきました。作品自体のちゃんとした感想はこのあと数回観に行くなかで、いつの日か書こうと思います。今日はとりあえず剛くん中心に思ったことを。(以下ネタバレ。)

実は、今日の席はぴあ先行でとったやつで、前方なんだけど端っこ見切れ席だからと期待しないで行ったら、花道の真横でしかもそこはかなり芝居をするポイントだったので、超至近距離で役者さんたちを見ることができました。欲を言えば何度目かの観劇でそこの席なら最高だったんだけど。最初は全体を見たかったなーなんて。贅沢なのは承知ですが。そんなわけで剛くん中心な感想なんです、今日は。

とにかく以蔵さんの犬っぷりが見事だった。彼は主人(天)に頑ななまでに忠実で、望みは明確でそのためになんだってするのに、彼の思いとは裏腹に思い通りに行かないことが多すぎて、やるせなくて、そのためにいろんな場面が切なすぎた。
武市に出会う前のぎらぎら、でもきらきらした無邪気な時代から、初めて人斬りに目覚めた恍惚とした狂気の表情、天誅の名の下に(暗殺ではなく)躊躇ない鬼のような仕打ち、そして裏切られ追われ逃げ続ける堕ちた姿。最後は死を前に、大事なこと悟って温和な表情に。とにかくどんどんと進んでく早い展開の中で、以蔵さんが変わっていくのが表情でよくわかる。妬みや僻みから抑えられず暴走したり落ち込んだりすねたりすがったり・・というネガティブな感情が多いのだけど、剛くんはそういう心情を表す芝居がとっても上手。思わず感情移入しちゃいます。
ワタシ的には、以蔵さんが最後逃げまどっている最中につぶやく「数ヶ月前が夢みたいだ」というセリフに、彼の短すぎる幸せだったシーンを走馬灯のように思い浮かべてやるせなくなって泣けてきました・・。とにかく切ない。これに尽きるなー。そしてこの役はすごく剛くんに合ってる(というか、キャストがみんな役にはまってると思った)。更にどんどんグレイドアップしそうな感じがしました。次回が楽しみ。
殺陣はすごいです。軽々動き回ってて。それと土佐弁がとっても似合ってる。叫ぶ感じの言い回しが多いし、体力も精神的にも相当消耗しそうなので、1日2公演とか大変そうだなーと思いましたが・・。至近距離で見た剛くんはすでに足とか絆創膏がいっぱいだったけど・・。がんばってねー(としか言えない T_T)