演技者「激情」をいまさら。

ポツドールが「激情」を再演していたそうで。ここ1~2年でポツドールファンになった友人が先週観に行って、かなり興奮してました(良くも悪くも)。で、TV版(演技者)を見てみたいというので、週末、うちで鑑賞会を。
ちなみにワタシが剛くんファンであるということは秘密にしてるので、なぜDVD持ってるのかと聞かれた際、思わずポツドールに興味があるフリをしましたが、実はワタシはこの劇団、多分苦手だと思う。観たことないんで食わず嫌いなんだけど。
で、TVの「激情」の方。都会(それほどでもなくても)とは明らかに違う田舎の若者達の閉鎖された世界での特殊な生き方、考え方、そんな中での人々の関係性。両親の自殺をきっかけに人生投げやりになった青年と、その周りの人々の夏から冬への話。夏、ダメな彼を見放さず、気にかけ、面倒を見続ける人々に、田舎の人間関係の良を見る。が、季節の移り変わりと共に、何があったというわけではないのに、それぞれが段々自分のことだけを考えるようになって、裏切ったと思えば裏切られ、で壊れていく人間関係。そしてあの収束の仕方。スゴイよねー?そしてリアルだよね。
まず、あの話をTVでやろうと思ったことがすごい。チャレンジャーだよね。実験的だよね。自由だよね。そう考えると、「演技者」シリーズは貴重な番組だったね。「マシーン日記」(ワタシ的に剛くん出演作ナンバー1)もすっごく良いもんなー。ってゆーか剛くんにはこの枠がとても合ってたね。今の日本のTV事情ではいわゆるゴールデンでは限られた種類の害の無い番組しか存在し得ないけど。剛くんってホントこういうシュールだったり、マニアックだったり、アングラ臭漂う一般受けが難しいようなお芝居が上手だよね。こーゆー役をやる剛くんがもっと見たいわけですよ。
この「激情」でも、役者森田剛の魅力爆発じゃないですか。こーゆー役をこんな風に演じられるのは剛くんをおいて他にはいないでしょ(手放しで褒めまくります)。
剛くんの何が凄いって、あんな救いようのないダメ人間なのになぜか見てる側にほっとけないと思わせるとこ。剛くんならではでしょう。マシーン日記もそうだったけど。うすっぺらになりがちなキャラクターに思いっきり深みを与えてるというか。表情といい、セリフの言い方といい、リアルで、時に魅力的に、時に徹底的にずるくダメな男に。計算しきっているのか、天性の勘なのか。対峙する相手によって表情や話し方が微妙に違う。普段人間が意識せずそうするように。
例えば、わかりやすいところでノリコに対する態度。焼香の時の彼女を見る下心丸出しのあの上目使い。関係がすすんで、年下の愛人という立場を最大限に利用して甘えたりすねたり。帰らないでほしい時のあの表情…。リアルだなー。そして調子にのって優位に立とうとする言動。
他にも同級生へのそれとは微妙に、でもあきらかに違う先輩久保さんへの態度。いかにも田舎ならではの狭い世界って感じ、よく出てます。
このドラマ、人間の嫌な部分さらけ出してとにかくリアル。実体験のない田舎の閉ざされたある意味排他的な社会に生きる若者達のやるせなさみたいなモノってきっとこーゆーものなんだろうと納得させられてしまう。
剛くんスゲーなー。リアルだなー。役者だなー。と、横で見ている友人の存在を忘れて没頭。
で、その舞台を見てきた友人のTV版を見ての感想は「ほっとした」でした。なぜでしょー?一体舞台では何が繰り広げられてたのか・・。