「ザ・マスター」

ポール・トーマス・アンダーソン最新作「ザ・マスター」見ました。
久々のPTA監督作、ホアキン・フェニックスフィリップ・シーモア・ホフマンの共演・・・。ワタシの大好物ばかり。楽しみにしてました。以下、ネタバレ。
 
見終わって、さすがPTA・・。と唸りました。決して万人受けするような映画ではないけれど、深く重く、そしてゆっくりゆっくりと、なぜか胸騒ぎがする方向へと進んでいくあの感覚に、やられました。フレディとマスターことドッドの、運命的な関係性が見る者の心を揺さぶります。この人たちはこうしてたまらなく惹かれあい、それぞれが自分の欠けた何かを埋めるかのように互いを必要としているのに、導かれたのと同じように、また離れなくてはいけないのだなぁ。それが2人の運命であり、それを受け入れるしかないことは2人が一番よくわかっている・・。フレディの哀しさが、圧し掛かる悔恨の念が、そしてまた不可能と知りながらそれを紛らわせようとする姿が・・。どれもが、痛々しく突き刺さる。そしてマスターの、やり切れない想いが、叶わぬ希望が・・。
親切なストーリー展開があるわけじゃない。でも、どのシーンも重要で、刺激的で、不安で、見ているワタシの緊張感とともに、鮮烈なイメージとして残っているのです。さすが、PTA・・・。
砂漠をバイクで疾走するシーンは、とってもシンプルな音と映像だけなのに、ものすごく色々なマイナスの感情渦巻く、それなのに美しいシーンとして特に印象深かったです。
ホアキンとフィリップシーモアホフマンが素晴らしかった。こんなに哀切溢れ、そしてなぜか愛おしいのはこの2人だからこそ、でしょう。いい映画でした。