色即ぜねれいしょん

みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督の映画です。wowowで放送されたのを見ました。「アイデン&ティティ」と同じコンビです。
自分の将来に、女子に、もんもんとした想いを抱えるもてない男子高校生のひと夏の物語。仲間との旅で出逢っ人達に多大なる影響を受けて、ちょっとだけ大人になるというありがちな話なのだけど。
出てくる人がとにかく魅力的。特に主人公のじゅん少年が影響を受ける自分より少し大人な人達が軒並みステキ。じゅん少年はみんなに愛されているのだなーと、見ているこっちまで優しい気持ちになれたりして。もちろんじゅんを始め、悪友達やヤンキー系の同級生も妙に素朴でいい味だしてます。じゅん少年の、愛ある大人たちに育まれたゆえの優しさだとか、素直さだとか、見ていて今のみうら氏につながるような感じさえしました。(イメージ。)
自分が幸せなのをよく理解した上で、しあわせだからハングリーになれないと悩んでみたり。大人の世界に憧れて思いっきり背伸びしてみたり。どこかへ行きたい、ここから抜け出したいという漠然としたあの年頃特有の焦燥感みたいなものがうまく描かれているなーと。見ていて、あの年齢のとてつもない(勘違いの)エネルギーだとか、苦悩だとか、痛々しいほどの青臭さだとか、なんか思い出しちゃうなーって。
昨今の日本映画の(ドラマも)とにかく見た目の良いモデルのような(実際そうなのか)、清潔でイノセントなイメージの名ばかりの俳優が、堂々主演を努めるという奇妙な常識に辟易としている身としては、こういうキャスティングで、こういうおもしろい映画を作っているということ自体に好感が持てるなーと思いました。