「血は立ったまま眠っている」

そして、とうとうついに本日マチネに行ってきました。以下、ネタバレありです。

搬入口からだーっと野郎共が走りこんできて、舞台上にセットが立ち上がっていくオープニング。そして登場人物それぞれの濃すぎるキャラクター。一貫してアングラ臭漂う舞台です。
街のゴロツキ達が集いクダを巻き悪事を企てる、一方で若きテロリスト達が若さゆえの純真さで夢見がちな理想を追い求めている。
死だの生だの、快楽だの欲望だの、差別だのタブーだの、愛だの憎悪だの、主義だの思想だの、自由だの不自由だの、混沌とした時代の混沌とした世の中に、大多数とは違う価値観の己を表現しようとしている人々・・。
詩的な台詞の応酬。特に良と灰男のシーンは水を打ったような静けさの中での印象的なせりふのやりとりが多く、なんというか、圧力を感じる気がするほど。

実は、1部前半のテロリストのシーンとゴロツキのシーンとが代わるときの、通路登場の同じパターンに、細切れ感を感じて集中途切れがち、しかも寺山独特の言い回しが不自然に感じる役者さんもいて、(まるでシェークスピア劇を見ているような)現実感がなくなってちょっと芝居芝居しすぎ・・と気になってしまったり・・もしたのだけど、1部終わりあたりからおもしろい空気になってきて。
2部の公衆トイレと刑務所のところから最後までは圧巻で、鳥肌立ちっぱなしでした。正直、1部前半はどうかなー・・と探り探り観賞してたのだけど、2部のあのシーンでもうワタシの中では芸術作品に昇華しました。終わったときには、これ、ものすごく好きかも、となんだかどきどきしました。そして今、またジワジワ来てます。今後また見に行くのが楽しみです(今日は2F席、見切れ多々だったので)。

2部、トイレの壁によじ登ってからの剛くん、素晴らしかったです。あーゆー繊細な芝居がホントよく似合うなーと。
ミチロウさんのブルースもものすごく効いてました。要所要所でぴしっと芝居を引き締めてました。あとは葉っぱ役の女優さんがよかったかな。

それにしても。客席にはアングラ芝居には無縁っぽい感じのお嬢さん方が多かったので、彼女らにはとっつきにくいんじゃないだろうかと勝手に思ってましたが、カーテンコールの拍手の勢いがすごくて、鳴り止まなくて、あーみなさんも楽しんだのねーとか要らぬ感動をしてしまいました。
そして2度目のカーテンコールでは、剛くんとキングとお姉さんが1部終わりの良のきめポーズ(すごくかっこいい!)を披露。ええ、かっこいいです。(パンフレットの写真も軒並みかっこいい。良が涙を流してるショットがなんともいえません。)