「レスラー」

「レスラー」見て来ました。マリサトメイと現在のミッキーロークに魅かれて。しかしワタシ的に格闘技全般がおもいっきり苦手(というか怖い)なのでやや不安を抱きつつ。(以下、ネタバレあり。)

とにかく見ていて痛い。いろんな意味で痛々しい映画です。実際、序盤のプロレスシーンからランディが心臓発作を起こすまであたりは、痛そうなシーンの連続で何度も目を覆ってしまいました(なんせプロレス自体が怖いんで)。
リング外のランディの、経済的にも肉体的にも落ちぶれて、悲哀に満ち満ちた描写がとてもリアル。破れて汚いダウンとか、車の汚れたフロントガラスとか、薬をいっぱい並べてるところとか。そんな細かいところからも彼の現在の状況が痛いほどに伝わってきて。いつか限界がやってくると気付きつつも、そうやって生きるしか術のない彼が痛々しい。
・・とはいえ、思わず笑っちゃうシーンとかも結構あって。プロレスの世界のいわゆる出来レース、演出の裏事情とかが妙におかしい。敵同士がすばらしい協調性を持って段取り決めてたり。(レスラー達、実はみんなかなりのナイスガイ。先輩をリスペクトしてるし。)レスラー同士がスーパーに凶器に使えるものを物色&買出しに行くシーンとか。ラムが髪染めたり、日サロに通ったりしているシーンとかは悲哀の中にも滑稽さが溢れてました。
一旦は引退して、家族や愛するもの達と生きる普通の生活に喜びを見出したりもした彼が、(故意に、ではなくとも)結果的に周りを深く傷つけてしまったことで、やはり自分の生きる(そして死ぬ)場所はここしかないと、リングに戻ってきての試合前のファンに向けてのあのコメント。じーんと沁みました。ミッキーロークだからこその台詞だったなと。ミッキー本人とダブって見えました。
ラムは、自ら壊してしまった大切な関係や、これまでないがしろにして傷つけてきたもの達へ、そしてそれでもこんな風にしか生きられない自分の、代償を、償いをするために戦うのだなー。愛している大事な人に、自分の想いをああやってしか伝えられなかったのだなー。
・・・しみじみしちゃいました。いい映画です。ミッキーロークのための映画です。重くて痛いけど、ラストもよかったです。