「少年メリケンサック」

遅ればせながら、「少年メリケンサック」見ました。以下ネタバレあり。

粗を探せばいくらでも出てくる作品だとは思うのだけど、そんなことするよりただ楽しんじゃえばいいのかなーという気にさせる映画です。もしかしたらそれこそがこの映画のテーマなのでは?と後々思ったりして。正直に言って映画としては稚拙というか、雑な感じが多々あるのだけど、あの映画はそれでいいのかもね。パンクだし。不思議と後味も悪くないし。
とにかくクドカンが、音楽がパンクが好きなんだなーというのがよくよく現れていて、それが見る人に伝わるのかもしれないね。なんつーか、愛があるというか。
おそらく劇中でクドカンの想いを代弁してるのが三宅さん扮するヤングで。せっかくバンドが軌道に乗りかけた時、ライブ中にアキオ・ハルオが喧嘩して怪我をしてこれからどーすんだよーってときに、ヤングが「あんたら先輩は自分にとって希望なんだ、今やらなかったらもうNo Futureじゃないかー」と(言う意味のことを)みんなにアツく語るシーンとか、これこそ彼の想いなんだろーなーと。クドカン世代のワタシも実は共感できる部分がいっぱいありました。キレイで無臭な音楽が横行している今だからこそ、この映画を作ろうと思ったのかなーとか。
とはいえ、最初に言った通り、難も結構あるんですけどね。(もちろんワタシ的にです)
特に主要な役の兄弟にまったく感情移入ができなかったこと。兄は上手なんだろうけど、人間としての弱い部分とかほとんど描かれていないので、ダメ人間なときも、バンドでカッコイイときも、いまひとつ入り込めない。愛着がわかない。その点、トモロヲさん演じるジミーは最高。あの人が主役だったらダメな姿もまた愛おしくて共に一喜一憂できただろうに。
弟の方は・・・言わずもがな。不思議なキャスティングだと思ったことだけ。
それと、演奏すらまともにできなかった(客にも相手にされなかった)彼らが、あるライブから突然(まぁ薄いきっかけはあるにせよ)、あんな風に客に受け入れられた変化が唐突すぎだった。その辺りもうちょっと丁寧に描いて欲しかったかな。
無条件にいいのは田辺くん演じるTELYA。いちいちおもしろいです。そしてジミー。初めてバンドが集まったシーンでの「ジミーが立った!」「立てないわけじゃないんですよ」が超ツボでした。
そんなこんなで、傑作ではないけど、キライじゃない。そんな映画でした。